元本割れ
2019/11/10
元本割れとは、支払保険料総額よりも受取保険金総額の方が少なくなる状態のことです。
昔のように予定利率の高い時代は、貯蓄性の高い保険で元本割れを起こすような商品はほとんどありませんでしたが、運用難の現在では予定利率が低くなっているため、支払保険料総額よりも受取保険金総額の方が少ないようなケースも珍しくありません。
元本割れをする理由については、予定利率が低い以外に保障面を手厚くしていることも理由の一つとして挙げられます。例えば、学資保険では、契約者死亡時の払込免除の他に、「育英年金」という保障を付けているケースがあるとします。
育英年金とは、契約者が死亡や重度障害となった場合に毎年育英年金という金額が満期時まで支払われるものをいいます。「育英年金」を手厚く(増額)すると保険料の中で保障として使われる部分が大きくなるため元本割れする可能性が高くなります。
しかし、学資保険というのは、契約者が死亡や重度障害となった場合などにその後の保険料の支払いが免除され、満期には保険金を受け取ることができるメリットがあります。
ただ単に元本割れするからその保険はダメということではなく、そういった保障の面を考慮して元本割れしても加入するメリットは大きいと判断できるならば加入すべきだと思います。
一方で貯蓄面を重視した保険でも運用難で元本割れする商品もあります。こちらも保障面も含めて本当に必要であるかどうか判断しましょう。
元本割れしない商品の見分け方
営業に勧められた商品に加入するのではなく、自分自身で元本割れしている商品とそうではない商品を見分けられるのが一番です。重要なのことは保険料をいくら支払って将来いくら戻ってくるかです。元本割れをするかどうかは「返戻率」を計算することで見分けることができます。
返戻率とは支払保険料総額に対して将来いくら受取れるかを表したものです。100%を超えると元本割れしていない商品で100%を下回ると元本割れと判断できます。返戻率が高ければ高いほどお金が多くもらえるのでお得になります。
計算式は以下の通りです。
返戻率(%)=受取総額÷保険料支払総額×100
【保険料支払総額】10,000円×12か月×18年=2,160,000円
【返戻率】受取総額(満期保険金)250万円÷保険料支払総額216万円×100=115.7%
返戻率は115.7%となり、将来15.7%増えて受取れることになります。
仮に営業員から元本割れしている商品を勧められても、このような計算すれば断るべきか判断できます。上記の例は死亡保障を考慮していないシンプルな形ですので、元本割れをしている場合は断るべき商品となりますが、死亡保障や医療保障などの特約を付けた商品の場合、保障部分が多い場合は元本割れする場合もありますので、一概に断るべき商品であるとはいえません。許容できる範囲なのか判断が必要です。