保険の基礎知識

民間保険と公的保険

2017/04/18

日本における保険制度

日本には、実に様々な保険が利用されています。保険は大きく分けて、民間保険と公的保険に分類することができます。

民間保険とは民間企業が行っている保険で、相互扶助収支相等の原則から、年齢や職業による危険率に応じた保険料の設定となっており、基本的に加入する、加入しないは個人の自由となります。

一方で公的保険とは国全体における社会福祉や社会保障、公衆衛生の向上などを目的として行われる保険で、民間保険と大きく異なる点は、強制保険とも呼ばれ基本的に加入対象者は必ず加入しなければならないこと、保険料の設定が一律方式または所得等に比例した方式であること、国・都道府県・市区町村の負担による軽減措置があることの3点です。

強制力がある点では、税金とあまり変わらないので、税金と同様に関心を持つ必要があります。安心して生活を送るためには、病気、不慮の事故、災害などに備えておくことが必要になります。保険を考える際はまず、公的保険を考え、その上で不足分を民間保険で補うスタンスをとるべきです。

民間保険と公的保険との違い

民間保険は国から認可を受けた生命保険会社が運営しているのに対して、公的保険は国や自治体・協会が運営しています。また民間保険と公的保険は加入義務や受けられるサービスの内容が異なります。それぞれの内容を理解して、保障の重複や漏れのないようにしましょう。

民間保険  公的保険
 目的 国民生活の安定(保険業法第1条)   国は、社会福祉、社会保障および公衆衛生の向上および増進に努めなければならない(憲法第25条)
性格 任意 強制(但し、小規模企業共済および中小企業退職金共済は任意)
種類 生命保険、損害保険 健康保険、介護保険、雇用保険、労災保険、厚生年金、国民年金、小規模企業共済、中小企業退職金共済 など
保険金額 契約により異なる 一度決めたら不変で、配当は変動する 法律により一定額 法律の改正により変わる
保険金の支払保障 金融庁が保険会社を監督する 国の事業
解約 自由 できない(但し、小規模企業共済および中小企業退職金共済は自由)
保険料の決め方 自由(上限あり) 税金のようなもので所得に応じて決まる(但し、小規模企業共済および中小企業退職金共済は任意(上限あり))
税金支払時 生命保険料控除など若干の配慮あり 全額所得控除など、かなりの配慮あり
税金受取時 若干の配慮あり 非課税または優遇税制

公的保険の将来について

国の制度である厚生年金や国民年金は、自分が在職中に収めた金額を将来利息をつけて自分がもらうのではなく、現役世代(被保険者)が支払う保険料を現在支給される年金にあてる方式のことを意味する世代間扶養方式となっています。

現在の日本では今後ますます平均寿命が延びて、年金をもらう人の数が増える一方で、逆に子どもの数が減って、将来納める人の数が少なくなります。

したがって、将来的には、増税や保険料の増加、支給開始年齢の引き上げ、支給金額の減少、所得や資産状況による制限(一定額以上の所得や資産のある人には支給しない)などで制度維持を図るものと見られます。

将来の生活を考えるときには、これらのことを念頭において、民間保険の加入の検討が必要になりそうです。

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