生命保険と物価上昇(インフレ)との関係
2017/01/07
生命保険の金額は、万が一のときの必要金額と保険料の支払能力から計算します。万が一のときの必要金額の算出の難しい点は物価上昇についても考える必要があるからです。
物価変動
市場経済の状態を表す言葉にインフレーション、デフレーションがあり、それぞれインフレ、デフレと略して言われます。インフレは物価が継続的に上昇していく経済現象、デフレは物価が持続的に下落していく経済現象です。社会も経済も一時もじっとしているということはありません。
生命保険が一般に長期にわたって継続する金融商品である以上、インフレやデフレとも無関係ではいられません。生命保険を考える際には、インフレリスクも考慮しましょう。
保険金とインフレの関係
終身保険の加入目的は、多くの方が、遺族補償ないし自身の葬式代などの死亡整理金として、また解約返戻金を老後の生活資金にと考えています。仮に現在の葬式代の相場が300万円だった場合、300万円の終身保険に入っておけば良いはずです。
しかし、数十年後、実際に死亡保険金を受け取る段階になった時に日本経済がインフレになっており、貨幣価値が下がって葬儀代が500万円かかるとしたら、この保険金では足りません。逆にデフレ傾向になっていた場合には、200万円で済むかもしれません。この場合は得をすることになります。
もちろん物価が上昇すれば給与水準も上がりますので、家計に占める保険料の負担割合は小さくなります。増えた可処分所得で新たに預貯金をする動機も十分出てくるでしょう。
しかしながら、受け取る保険金額は契約時のまま決して変化がないという事はしっかり頭に入れておいてください。政府の年金と違い、物価スライドという処置はありません。
生命保険によるインフレ対策
変額保険は保険料をインフレ対抗力の強い株式や債券で運用し、運用結果を保険金に反映させる保険なのでインフレに対応できるといえます。ただし、株価の変動も反映するので、20年、30年といった長期の視点で見ておく必要があります。
インフレになっても価値の下がらない保険とは
インフレのリスクに対応できる保険は何でしょうか。変額保険であれば、インフレに強いとされています。変額保険とは保険料を積極的に運用して、その運用成績次第で将来もらえる金額が変動する保険です。
通常の積立型保険などより高い利率で金額を増やせる可能性がある一方で、期待したほど増えなかったり、商品によっては元本割れしてしまったりするリスクがある商品です。インフレの原因はいくつかありますが、代表的なものは景気が良くなったということが挙げられます。
変額保険は株式投資信託など投資性の強いもので資金を運用しますが、そのような金融商品は好景気では値段が上がりやすい特徴があります。好景気ではインフレになりやすいので、インフレのときは、変額保険での資産運用が成功しやすいといえます。
通常の積立型保険では、もらえる金額が定額なのでインフレになると、その価値が下がるのに対して、変額保険はインフレになると、もらえる金額そのものが増えている可能性が高いため、お金の価値が下がったとしても、金額自体が増えているのでインフレで物価が上がっても実質的には損しないといえます。