約款(保険約款)
2019/11/23
「約款」とは不特定多数の利用者を相手方とする事業において、あらかじめ定型化して契約条件を定めておく契約形態の一種です。大量の取引を簡便・迅速に行えるので、消費者取引において広く用いられています。
「保険約款」はこの契約形態を用いて保険会社が作成しますが、保険契約者が不利な内容の契約を強いられる恐れがありますので、法令によるものや金融庁による指導など、その制定にあたっては、国の関与を要し、最終的に認可を受ける必要があります。
保険契約者と保険会社の間で締結する、保険契約に関する内容(権利・義務・条件など)が記載された保険約款は保険の加入する際に保険契約者に渡されます。
保険約款の内容
一般的な保険約款の内容は以下の通りです。
・保険会社の責任開始期日
・保険金の支払い
・保険契約の無効および解除
・保険料の払込み
・配当
・保険契約の解約および払戻金
・保険契約の内容の変更
・契約者に対する貸し付け
保険法には生命保険の規定がありますが、保険約款で法律の定めを拡張したり、限定したりすることは法律の定めの趣旨に反しないかぎり認められます。保険を契約が済んだときには、保険約款にも同意したとみなされ、保険契約は内容を読んでいなくても拘束されてしまいます。
保険会社は、保険約款に基づいた対応を行います。保険約款は、法律的な言いまわしで、細部にわたり保険の契約条件や保険の内容について書かれていますので、すぐに理解出来るものではありません。
「保険約款は難しくてよくわからない」、「保険約款の要点だけを知りたい」場合は、多くの保険会社で、保険約款についてわかりやすく、ポイントを絞って説明している「ご契約のしおり」を使って説明を受けることが多いです。
重要事項など、理解出来ないことや不安があることは、しっかりと営業担当者に確認しておきましょう。なお、保険約款は年が経つと改正されている場合もあるので、最新のものを確認したい場合は、 保険会社のホームページで、最新版の保険約款を閲覧することができます。
約款を読む上で欠かせないポイント
約款は保険の条件や内容が定められている重要な書類です。保険約款では、以下の点が必ず記載されています。非常に読みづらい箇所が多いのですが、しっかりその内容を確認します。
1.保険会社の責任開始日
保険の効力がいつから始めるのかを記載しています。この責任開始日以前の事故などは保障の対象となりません。契約日と責任開始日にズレがあることもあるので確認します。
2.保険金の支払
保険金がどのような場合にどのような方法で支払われるのかを記載しています。一般的には保険契約の請求期限なども書かれています。商法では2年ですが、3年と延長している保険が多くあります。
3.保険料の払込み
保険料をどのようにして払い込みをするのかを記載しています。
4.配当
どのような期間や基準により配当が行われるのかを記載しています。
5.保険契約の無効および解除
どのような場合に保険会社は保険契約を解除することができるのかを記載しています。一般的には告知義務違反や特殊な災害による死亡時(戦争や地震など)には特約を適用しないなどが記載されています。
このほかにも保険料が払い込みされなかった場合の解除や復活について記載されている場合があります。