死亡保険金があって、満期保険金がない保険
2017/01/31
掛け捨て型で、敬遠されがちな定期保険ですが、実際にはどのようなものなのでしょうか。定期保険と積立貯金の比較してみます。
定期保険のしくみ
定期保険は、被保険者が保険期間内に死亡した場合のみ、死亡保険金が支払われ、満期の時に被保険者が生存していた場合でも満期保険金の支払いがない保険です。
保険期間は、加入時から5年、10年、15年、20年というように年数で期間を定めているものと被保険者が50歳に到達するまで、60歳に到達するまで、70歳に到達するまでというように年齢で期間を定めているものとの2種類があります。
このように保険期間が定められているので、「定期保険」というのです。一部の商品では90歳を満期とするものもありますが、現在の平均寿命を考えると、これは事実上の終身保険といえます。
定期保険には配当が付くタイプ(「有配当」という)と配当が付かないタイプ(「無配当」という)があります。保険期間中に死亡した場合、実際に受け取る金額は、有配当のものであれば死亡保険金と配当金の合計額となります。
満期の時に生存していた場合、満期保険金は支払われませんが、配当金が支払われることになります。(なお、無配当では保険期間中に死亡した場合、死亡保険金のみ支払いとなり、満期の場合は支払われるものはありません。)
定期保険に貯蓄機能はない
定期保険の特徴は、一定期間の死亡保障を安い保険料で確保できるという所にありますので、終身保険や養老保険のように貯蓄の機能は持ち合わせていません。
貯蓄機能がないので支払った保険料が無駄になったと感じる人も多いと思いますが、保険期間の死亡保障はされているわけですから、損をしているという事ではありません。貯蓄機能を持たせたいのであれば、生命保険以外の金融商品という選択肢もあります。
掛け捨ては本当に損であるのか
定期保険では、満期の時に被保険者が生存していたとしても満期保険金の支払いはありません。このことから、それ以前に支払った保険料は無駄になったと思いこみ、「掛け捨て」という言葉がよく使われます。
しかし、保険期間中に不慮の事故などで被保険者が死亡した場合には、保険金が指定された保険金受取人に支払われるという保障(サービス)がずっと継続していたと考えるとこの表現は正しくありません。
一例を挙げて説明します。
万が一のために、Aさんは1,000万円を目標に積立貯金を開始し、Bさんは保険金1,000万円の定期保険に加入しています。この場合、Aさんが満期の時に生存していれば1,000万円を手にすることができますが、Bさんが満期の時に生存していても手にするものは何もありません。
一方、Aさんが積立途中で死亡しても遺族は積み立てていた貯金分は手にすることはできますが、1,000万円には届きません。Bさんが保険期間中に死亡したときには遺族は必ず1,000万円を手にすることができます。
すなわち、定期保険は「保障」という機能だけを目標にした商品であり、保険料の支払いは定期保険という「商品」の購入代金なのです。「定期保険は掛け捨てだから損」というのは、誤った考えなのです。