4大共済
2017/02/15
生命保険や医療保険を検討している人にとって、月額1,000円前後からという手頃な掛金で保障をかけられる共済は、有力な選択肢の一つです。共済とは、加入する組合員が資金を出し合い、事故などの際に集めた資金の中から保障を行う事業のことです。
農林水産省が監督官庁の「JA共済」、厚生労働省が監督官庁の「全労済」「都道府県民共済」「CO・OP共済」の4つが4大共済として有名です。
県民共済
全国生活協同組合連合会(全国生協連)が元受となっており、銀行を窓口に加入します。通常は、居住地あるいは勤務先のある都道府県の共済に加入する形になります。
加入者が多く、支払額が安い代わりに保険料も格安、支払いが早いかつ交渉がもめないなどの長所が広く周知されているため、過去に保険業界満足度アンケートで1位にランク付けされるなど消費者からの満足度が高いのも大きな特徴です。
全労済
正式名称は「全国労働者共済生活協同組合連合会」です。消費生活協同組合法に基づき、「助けあい」の精神に従った事業姿勢と仕組みで組合員(ご契約者)主体の保障=共済制度を提供することが事業の中心です。
加入方法は、所属する労働組合経由の加入が基本ですが、 各都道府県の共済生協の本支部でも加入可能です。近年は共済ショップが全国各地に展開されているので、労働組合員ばかりではありません。
JA共済
「農業協同組合(JA)」の目的は、農家組合員が協力して農業生産力の増進と経済的・社会的地位の向上をはかること、そして、協同による事業活動を通じて、農家組合員の幸福と利益を実現することです。
ですから、JA共済は、もちろん「仲間づくり(新規契約者の加入促進)」から「絆の強化(生活総合保障の確立)」につながる保障提供活動が大きな目的となっています。
加入方法はJAの組合員が所属するJAでの加入が基本となりますが、組合員以外でも加入可能です。
CO・OP共済
日本コープ共済生活協同組合連合会(コープ共済連)が元受となっており、取り扱いの生協店舗で申し込みをします。CO・OP共済の場合、生協組合員への加入が必要となります。
CO・OP共済の特長の一つにライフプランニング活動(LPA活動)があります。組合員ライフプランアドバイザーを中心に社会保障や生命保険等の仕組みを学び、自分の保障を考える力を養うという活動をしています。
共済と生命保険の違い
1.消費者からみた共済と生命保険の実質的な差異
保険商品を購入する立場の消費者からみれば、共済と生命保険の提供する商品には実質的な相違はなく、両者の差異を見つけるのは難しいです。一般的にいわれている両者の差異をあえてあげるならば、以下の 2 点です。
生命保険は不特定の者を相手方としているのに対して、共済は原則として特定の職域や地域に限定された構成員(組合員)やその家族などを対象としていることです。これは出資金を払うことによりその構成員になりさえすれば、共済を利用することが可能となるといえます。
もう1点は、共済は生命保険に比べて、比較的簡単に加入できることや、その掛金は保障内容の割に比較的低いとみられていることです。掛金が低い背景には、営業経費を抑制しようとする営業スタンスや法人税率が優遇されていることがあげられます。
2.共済と生命保険を取り巻く制度面の違い
共済と生命保険を取り巻く制度面の違いは、以下の 5 点があげられます。
(1)両者を所管する監督官庁が異なる
生命保険は金融庁です。共済については、各共済の根拠法となる法律を所管する官庁が監督しています。具体的には、JA共済は農林水産省、全労済、県民共済、CO・OP共済については厚生労働省が監督官庁となっています。
(2)セーフティーネットへの資金拠出の有無
生命保険会社では生命保険契約者保護機構に資金拠出を行っていますが、共済については、セーフティーネットへの資金拠出はありません。
(3)法人税率の違い
現時点においては、生命保険は、原則、基本税率である 25.5%が適用されている一方で、共済は、協同組合等・公益法人等の軽減税率(本則)の 19%が適用されています。
(4)販売商品の違い
共済は生命保険商品と損害保険商品を同時に扱うことができますが、生命保険会社は直接損害保険商品を取り扱うことができません。
(5)非営利事業もしくは営利事業の違い
共済は、営利を目的とするのではなく、組合員が自ら運営することを通じて、組合員に最大の利益還元、サービス提供を行っているのに対し、生命保険会社(但し、相互会社は除く)は営利事業となっています。