予定基礎率(予定利率・予定事業費率・予定死亡率)
2019/11/23
予定基礎率について
予定基礎率とは、保険会社が保険料を計算するときに用いる基礎率です。保険料は、『予定利率』、『予定事業費率』、『予定死亡利率』の3つの基礎率から成り立っています。
1.予定利率
予定利率とは運用利回りのことです。保険会社は、契約者から払い込まれた保険料を有価証券や貸付などで運用し、その収益を保険金、つまり責任準備金に充てています。予定利率はこの運用で収益がどれくらい出るか、その運用利回りを予測した割合のことです。
予定利率は保険会社の健全性を確保するため、金融庁から一定の基準を定められています。これを「標準利率」と呼び、保険会社はこの標準利率をもとに自社の状況を反映して予定利率を決定しています。
この予定利率は、高く見込めればそれだけ保険料を安くすることができますが、いったん定めた予定利率はその契約が終了するまで維持されなければなりません。したがって、予定利率は安全性、確実性を見込んで決められます。
なお、損害保険では、積立型の保険で、所定の満期返戻金の支払いのため、保険料に含まれる積立保険料を払戻積立金として運用するためにあらかじめ定めた利率をいいます。予定利率を超えて運用することができれば、その超えた部分は契約者配当として、契約者に還元されます。
2.予定事業費率
予定事業費率とは保険料に占める保険会社が保険事業を運営するために必要となる経費の見込み額の割合のことです。 この経費とは、保険会社の人件費、契約締結時までの事務費用や契約管理費用などです。
3.予定死亡率
過去の統計をもとに、性別・年齢別の死亡者数(生存者数)を予測し、将来の保険金などの支払いにあてるための必要額を算出します。算出の際に用いられる死亡率のことです。
保険会社は加入者に保険金を支払うため、予定死亡率をもとにその人がいつ死亡するか(いつ保険金を支払うか)を過去の統計から予測し、必要な準備金を保険料に組み込んでいるのです。加入時の年齢や性別で保険料が変わるのはこのためです。
保険料との関係
予定事業費率や予定死亡率が上がると保険会社の支払費用の増加が見込まれるため、保険料は高くなります。反対に予定利率が高くなると保険会社の運用益の増加が見込まれるため、保険料は安くなります。
貯蓄型の保険であれば、将来戻ってくるお金が多くなる、お得な保険と言えます。現在は昔に比べて予定利率も下がっており、昔の予定利率の高い保険に加入していて、見直しを考えている人は慎重に検討してください。
なお、保険会社の予定利率と定期預金の金利を比較して損得を述べる人がいますが、予定利率=金利ではありません。金利は銀行が預かった金額に対して利息を計算しているのに対し、保険はさまざまなコストを差し引いて残った保険料に対して運用利益(予定利率)を計算しています。
両者は根本的に計算方法が異なるので混同しないように注意してください。