保険のしくみ
2017/04/17
保険とは何か?
保険とはどういうしくみで成り立っているのかを簡単な例を使って説明します。ある料理教室で、生徒のAさんは盛り付けの準備で大皿を割ってしまいました。皿代3,500円をAさんは弁償しましたが、その時、料理教室の先生の話では、1年間に10枚くらい割れるとのことでした。
そこでAさんは「いつか誰かがお皿を割ってしまう。1年に3,500円のお皿が10枚割れるとしたら、35,000円。これを料理教室の会員100名で分担すると年間1人350円。これくらいの出費なら無理な負担にはならないのではないか」と考えました。
そして、Aさんは会員のみんなを説得してまわり、お皿を割ってしまう可能性に備え、ひとり年間350円を出し合う賛同を得たのです。実は、このAさんの考え方が保険のしくみそのものなのです。
みんなで出し合う350円が保険料(掛け金)、割れた皿の代金が生命保険会社から支払われる保険金にあたるわけです。一般に保険に加入すると、毎月、契約した生命保険会社に対して「保険料」を支払うことになります。
生命保険会社は大勢の加入者が出し合ったお金(保険料)を、責任を持って貯めておき、加入者の誰かが大きな病気や怪我をしたり、死亡した際に、貯めたお金の一部をその加入者(あるいはその加入者の家族など)に支払って、様々な負担を減らすことができます。
生命保険会社が貯めたお金は、もともと加入者全員のお金なので、保険とは加入者が相互に助け合うものであると言えます。そのため、生命保険会社は「相互会社」と呼ばれる形態だったのです。
※相互会社:法律上は「保険契約者を社員とする法人」という位置付けで同じ会社の社員が相互に助け合うことになります。
※現在では大きな資金を調達しやすい「株式会社」に移行している生命保険会社も多くあります。
つまり、保険に加入することで、いざという時には保険金によって助けられる代わりに、普段は(たとえ自分には「いざという時」といった事態が発生していない場合でも)、支払っている保険料が誰か別の加入者の役に立っているかもしれないということです。
これが一般的な保険のしくみです。そのため、保険を説明する際には、「相互扶助の精神」や「助け合いの制度」といった言葉が多く使われます。
保険の保障性について
保険はリスクの発生に伴う損失を皆で負担しあう相互扶助的なシステムです。こういった損失を皆でカバーするという保険の機能のことを「保険の保障性」といいます。保険で備えるべきリスクの多くは、一個人では対処できない(対処できたとしても損害が大きい)ものです。
死亡や事故、災害などによる被害は場合によっては人生を悪い方に大きく変えてしまうこともあります。そうした大きな損害を金銭面で予防するという保障性に保険は役に立ちます。
保険商品は「期待値ではマイナス」となりますが、そのマイナスを考えたとしても、大きなリスクに備えるという意味で保険には確かな価値があります。
リスクに備え過ぎという考えもある
期待値では損をするので、無駄な保険に入る必要はありません。特に、死亡保障に比べで保障金額の低い医療保険などで入院費用の保障などはどこまで必要なのか、預貯金で対応できないのかということは考える必要があります。
仮に、入院に100万円が必要だとして、既に預貯金で数百万円を確保できているのであれば、100万円の入院費用を保障する保険に入る必要はないという考え方もあります。