生命保険会社が破綻した場合、契約はどうなりますか?
生命保険会社の経営が破綻した場合でも、契約は継続します。「生命保険契約者保護機構(以下、「保護機構」)」により一定の契約者保護が図られます。
生命保険契約者保護機構とは
生命保険契約者保護機構(以下、保護機構)は、保険業法に基づいて平成10年に設立された法人で、国内で事業を行う全ての生命保険会社が会員として加入しています。ただし、共済や少額短期保険等は保護機構の会員ではありません。
保護機構は生命保険会社が破綻した場合には破綻保険会社の保険契約の移転や補償対象保険金の支払いに係る資金援助等を行います。
保険契約の継続
生命保険会社の経営が破綻すると加入している保険の契約を継続するために、以下のような措置が取られます。この措置は、破綻した生命保険会社の契約を引き継ぐ「救済保険会社」が現れるかどうかで変わります。
保険会社破綻後の措置
1.救済保険会社が現れた場合
破綻保険会社の保険契約は「救済保険会社」による保険契約の移転、合併、株式取得により破綻後も継続されます。
2.救済保険会社が現れなかった場合
破綻保険会社の保険契約は「生命保険契約者保護機構」が設立する子会社の「承継保険会社」、または同機構みずからが引き受けることにより破綻後も継続されます。
(1)責任準備金の削減
破綻時点での責任準備金(※1)の90%までは補償されます。ただし、保険会社の破綻後、保険契約の継続を図るときに責任準備金(※1)が削減されることがありますが破綻時点における責任準備金の90%までは保護機構が補償します。
なお、予定利率が高かった保険契約(※2)については、責任準備金の90%以下の割合でしか補償されないケースもあります。
(※1)責任準備金…生命保険会社が将来の保険金などの支払いに備え、保険料や運用収益などを財源として積み立てている準備金のことをいいます。
この部分で勘違いをされることが多いのですが、死亡保険金や年金の受取額、さらには解約返戻金や払い込んだ保険料の90%が補償されることではありませんので注意してください。
(※2)破綻時点を起算とし、過去5年間で常に予定利率が基準利率を超えていた保険契約のことをいいます。
(2)予定利率の削減
保険契約が引き継がれる際、予定利率が高かった時に契約を行った保険については、予定利率が引き下げられるなど、契約条件が変更されることがあります。
さらに、保険契約が引き継がれた後に一定の期間内に解約を行うと、契約条件変更後の解約返戻金などからさらに一定の割合で解約返戻金が削減される「早期解約控除」といった措置が行われることもあります。
どちらも、契約を引き継ぐ保険会社が、一定の保険契約者数の維持を図り、さらには保険契約を継続させ適切に運営していくための措置です。
生命保険会社の破綻後、すぐに解約できない
生命保険会社の破綻後も、保険料は支払い続けなければなりませんが、救済保険会社などに保険契約の移転が完了するまで解約はできません。その後、一定期間内に解約をする場合、契約条件変更後の解約返戻金から更に一定の割合で削減(早期解約控除)が行われることがあります。
これらは保険契約の解約を一斉に行われることを防ぐための措置となります。