死亡診断書
2019/11/16
死亡診断書(死体検案書)とは、医師や歯科医だけが作成できる書類であり、「人の死亡に関する厳粛な医学的・法律的証明であり、死亡者本人の死亡に至るまでの過程を可能な限り詳細に論理的に表すもの」をいいます。
死亡診断書が必要な理由
死亡診断書がなければ医学的に死亡したことが証明されません。つまり、法的に生存している可能性があると解釈されます。
実際は死亡しているにも関わらず、火葬や埋葬ができなくなるばかりではなく、その人への課税、公共料金の支払いや年金受給などの金銭やりとりが発生して、不正の温床になります。死亡診断書の提出期限は基本7日以内で、これを守らないと懲役や罰金刑、過料となります。
なお、診療継続中の患者以外の者が死亡した場合や診療継続中の患者が診療に係る傷病と関連しない原因により死亡した場合において医師は死体検案書を交付することになっています。例えば、自宅などで突然死した場合は死体検案がおこなわれるので死体検案書になります。
作成された死亡診断書の原本は役所に提出するため、死亡保険金を受け取るためには保険会社の所定の死亡証明書や死亡診断書のコピー、または死亡届記載事項証明書を提出することになります。
保険金の請求期限について
生命保険の保険金の請求には、期限(時効)があります。保険法第95条によると保険給付金や保険金、解約返戻金、前払保険料を返還する権利は、権利発生時の翌日から3年間行わなかった場合、時効により消滅します。
時効に伴う法律効果は時間の経過だけで生じるものではなく、時効によって利益を受けるもの(生命保険の場合は保険金の支払い義務が消滅する保険会社)が時効の利益を受ける旨の意思表示をすること(これを時効の援用という)によって初めて発生するものなのです。
しかし、保険会社は基本的スタンスとして、死亡や満期時の保険金の請求に関しては、時効の援用はありません。ただし、自殺や保険金詐欺の疑いがある場合等、事件性が高い場合には時効の援用をする場合があります。
死亡後における主な手続きについて
死亡診断書(死亡届)は市区町村役場に提出する原本1通で足りますが、生命保険以外にも死亡後の手続き等でコピーが必要となることがあるので準備しておくとよいでしょう。
1.葬儀前または直後に必要な届け・手続き
葬儀の前後に、急いでしなければならない届け出・手続きには、次のようなものがあります。
・死亡届
・死体火・埋葬許可申請
・年金受給停止の手続
・介護保険資格喪失届
・住民票の抹消届
・世帯主の変更届
・遺言書の検認 など
2.葬儀の後、なるべく早めに必要な届け・手続き
葬儀前後からできるだけ早めに手続きしたほうがよい届け・手続に、次の事項があります。
・雇用保険受給資格者証の返還
・相続の放棄
・所得税準確定申告・納税
・相続税の申告・納税
・生命保険金の請求 など
3.補助金や給付金、高額医療費払い戻しなどを受ける手続き
葬儀費用の補助金や高額医療費の払い戻し、年金の一時金など、遺族に対して金銭が支給される制度があります。また、民間の生命保険金などの請求もあります。
・国民年金の死亡一時金請求
・健康保険加入者の場合の埋葬料請求
・船員保険加入者の場合の葬祭料・家族葬祭料請求
・国民健康保険加入者の葬祭費請求
・高額医療費の申請
・労災保険の埋葬料請求 など
4.遺族年金などを受け取るための手続き
家族の生計を支えていた方を亡くした場合は、遺族年金が大きな支えになります。
・国民年金の遺族基礎年金請求
・国民年金の寡婦年金請求
・厚生年金の遺族厚生年金請求
・労災保険の遺族補償給付請求 など
5.名義変更や解約などが必要な手続き
故人が生前所有していた不動産や動産、契約していたサービスなどには、相続財産とみなされるものもあり、名義変更には遺産相続の手続きが前提になる場合もあります。
また、契約サービスなどを解約する場合も、未精算の料金や残債などあれば遺産となることもありますから、手続きには注意が必要です。
・不動産の名義変更
・預貯金の名義変更
・株式の名義変更
・自動車所有権の移転
・電話(加入固定電話)の名義変更
・公共料金の名義変更
・クレジットカード
・運転免許証
・パスポート
・携帯電話、プロバイダー、介護サービス、給食サービスなどの契約サービス
・ゴルフ会員権の名義変更 など