高額療養費
2019/11/13
高額療養費とは健康保険法等に基づき、月初から月末までの1カ月間に支払った医療費の自己負担分を一定額以下にとどめる医療保険制度である。重い病気などで病院等に長期入院したり、治療が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額となります。
そのため家計の負担を軽減できるように、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が保険者(全国健康保険協会、健康保険組合、市町村等)によって支給される制度です。保険対象外のものは医療費に含まれません。
例えば、差額ベッド代、お見舞い返しや医師への謝礼などの雑費、入院時の食事療養費などです。70歳未満、70歳以上75歳未満、75歳以上で、それぞれ計算方法が異なり、自己負担限度額の金額が変わります。自己負担額によっては同一世帯内の医療費の合算が可能です。
また、同一世帯内で直近の12ヵ月間に、すでに3回以上高額療養費の支給を受けている場合には、その月の自己負担額の上限がさらに引き下がります。なお、75歳以上の場合は、後期高齢者医療制度の高額療養費として支給されます。
(参考)自己負担限度額
給付を受けるためには、申請をしなければなりません。申請を忘れないように注意しましょう。申請には、領収書、印鑑、保険証、預金口座などが必要です。
医療費控除との違い
医療費控除と高額療養費制度との違いは確定申告の有無です。医療費控除は、1年間に支払った医療費に対して一定の所得を控除します。(税負担の軽減)税務署への確定申告が必要になります。
一方、高額療養費制度は、1か月ごとに支払った医療費が一定の金額を超えた場合に超えた分を支給する制度です。健康保険(国民健康保険や健康保険組合など)で対応します。
高額療養費制度の活用方法
1.月またぎは避ける
高額療養費制度は月初から月末までの医療費が高額なった場合に、一定の自己負担額を超えた部分が払い戻される制度です。下記の例のように月またぎでの入院の場合、払い戻し金が0円になるケースがありますので注意しましよう。
例 入院が暦月で収まった場合とふた月にまたがった場合
20日間入院して医療費が15万円かかった場合、同月内に20日間入院した人は高額療養費制度の対象となりお金が戻ってきます。しかし、ふたつの月にまたがって入院をし、最初の月の医療費が75,000円、次の月が75,000円となった人は、暦月が違うため合算できず、高額療養費制度の対象となる限度額を上回っていないため、払い戻される金額は0円となります。
2.入院前に「限度額適用認定証」を準備
70歳未満の方で入院や手術、抗がん剤の治療などで高額な医療費がかかると予測できるときは、治療を受ける前に予め公的医療保険で限度額適用認定証を入手しておけば保険証を医療機関の窓口に提示することで、1ヶ月分の医療費を支払う際に自己負担限度額までの支払で済ませることができます。
この手続きを行うことで医療費の支払後の高額療養費制度の申請手続きが省けます。
3.高額療養費制度は家族で合算できる
家族が加入している公的医療保険制度が同じ場合は、家族の医療費も高額療養費の対象として合算できます。(世帯合算)なお、家族で加入している公的医療保険制度が異なる場合は合算することができません。
例えば共働きの夫婦で、夫は「協会けんぽ」、妻は「健康保険組合」に加入している場合は、合算の対象外となります。
4.高額療養費は2年以内であれば申請できる
高額療養費の支給を受ける権利は診療を受けた月の翌月初日から2年です。したがって2年以内であればさかのぼって申請し、払い戻しが受けられます。