責任準備金
2019/11/17
責任準備金とは保険会社が被保険者に対して将来支払う保険金や給付金を支払えるよう、一定額以上を積み立てておかなければならない準備金のことで、保険業法で義務付けています。万が一、責任準備金の金額が足りない場合には、監督機関から保険会社に対して行政指導などが行われます。
責任準備金の算出方法
責任準備金=支払保険料-(加入期間の保険料+保険会社のコスト等)
により算出されます。つまり、支払った金額から実際に保険で使った金額と保険会社の経費を指し位引いたものが責任準備金(解約返戻金の原資)となります。
責任準備金からは、生命保険会社の運営コストが差し引かれていますが、この運営コストのうち大きな割合をしめているのは「契約コスト」です。生命保険会社各社は生命保険契約をとるために多数の営業人員を抱えており、その費用は大きなものとなります。
この契約コストの責任準備金への反映方法を保険期間で平準化で行うのか契約初期にまとめて行うかによって積立方式が分かれています。そしてこの契約コストは初回のみ必要になっており、その後のコストは運営によるコストということになります。
責任準備金の積立方式
主に「平準純保険料式」と「チルメル式」の2種類があります。
1.平準純保険料式
保険事業にかかるコストを毎年一定の付加保険料でやりくりできると想定し、残りの保険料を責任準備金とする方式です。積立方式の水準を求めて平成8年4月に施行された「標準責任準備金制度」はこの方式で積み立てることとされています。
2.チルメル式
契約初年度は多くのコストがかかるため、初年度のみ付加保険料を多めに確保し、2年目以降から責任準備金の割合を増やしていく方式です。決算書上、費用を早期に回収できる方法です。したがって、あるタイミングで平準純保険料式と同様の積立額に追いつきます。
生命保険会社が基準としているのは前述の平準純保険料式ですが、経営が苦しい会社はチルメル式を採用するといわれています。
責任準備金は生命保険会社が破綻した場合のセーフティーネット
生命保険が経営破綻した場合には、契約が生命保険契約者保護機構に移行しますが、その保護の対象は『責任準備金の90%まで』となっています。
ただし、破綻時に、過去5年間で常に予定利率が金融庁長官及び財務大臣が定める基準利率を超えていた保険契約は「高予定利率契約」となり、責任準備金の補償率は以下のようになります。
責任準備金と解約返戻金との違い
責任準備金とよく混同されるのが解約返戻金です。解約返戻金は、生命保険契約を解約したときに契約者に払い戻されるお金のことです。
実は、この解約返戻金ですが、責任準備金から保険会社のコストなどを差し引いたものが解約返戻金として契約者に払い戻されるという仕組みになっていますので、責任準備金と解約返戻金は多くの場合、責任準備金>解約返戻金となります。