解約返戻金はかなりの低額
2017/02/01
定期保険というタイプの生命保険はいわゆる「掛け捨て型」の保険となっており、途中で解約した場合の解約返戻金はゼロか、あるいはあったとしてもかなりの低額なものになっています。その理由は定期保険の場合、貯蓄保険料がそもそも含まれていないからです。
責任準備金と解約返戻金
1.責任準備金について
人はみな年を取るほど死亡率が高くなります。保険契約者が支払う保険料と、保険事故発生の際に支払われる保険金の数学的期待値が等しいことを示す原則で考えれば、死亡保険では、高齢の加入者ほど高い保険料を支払わなければなりません。
このように、保険事故を起こす確率(危険率)に応じて決められた保険料のことを自然保険料といいます。一方、ほとんどの生命保険では、保険期間を通じて一定の保険料を払い込むしくみになっていますが、これを平準保険料といいます。
当たり前のようにそうしているわけですが、実は保険の考え方からすると、これはとても画期的なことなのです。平準保険料は、若いときは自然保険料よりも多く、年を取ってからは自然保険料よりも少なくなります。
平準保険料方式の場合、若いうちに先払いした保険料は、先々の保険金や給付金の財源として、大切に保管・運用する必要があります。これが責任準備金です。
2.解約返戻金はゼロに等しい
解約返戻金とは、保険契約者が保険契約を保険期間の途中で解約した場合に、生命保険会社から支払われる金額のことです。この金額は責任準備金を基礎として計算されます。
満期保険金がない定期保険の責任準備金は少額であるので、解約返戻金も極めて低額で、払込保険料を満たすことはなく、多くの場合はゼロです。このことは、定期保険に「貯蓄性」がないということを意味しています。
掛け捨てのお金の意味
掛け捨ては損している感じがしますが、貯蓄型の保険であっても、早期の途中解約の場合、定期保険と同じ程度になります。なぜ、このような結果になってしまうのかというと、結局、定期保険の保険料というのは、「保障」の値段だということです。
これに対して、貯蓄型の保険は、「保障+貯蓄」の値段となり、貯蓄部分が加わるため定期保険と比較して保険料が高くなっています。そして、途中解約した場合、解約返戻金として戻ってくるのは基本的には「貯蓄」部分だけです。
「保障」部分は、お金を払ってその「保障」を買ったのですから、その分は戻ってきません。以上のことを理解すれば、掛け捨てのお金は、無駄になっているわけでもなければ、貯蓄型の保険と比べて「損」をしているわけでもないことがわかります。
定期保険の保険期間の高齢化
定期保険の保険期間は急速に「高齢化」し、90歳や100歳とするものも珍しくなくなりました。このような平均寿命を超える年齢を保険期間とする定期保険は、もはや事実上、保険期間は終身といえます。
そこで、保険料の払込期間を65歳と短くして、払込期間終了後に解約返戻金を受け取ることで、定期保険でありながら、払込保険料に匹敵する解約返戻金を受け取ることが可能なタイプもあります。