契約転換制度とは
2017/03/09
定期保険特約付終身保険に加入し定期保険特約の更新時を迎えると、支払保険料の増額を抑えるために営業職員の多くは契約の転換をすすめます。定期保険特約付終身保険の転換では、保障額は大型化したけれど、終身保険が減額されたなどのトラブルが見受けられます。
契約転換制度のしくみ
契約転換制度とは、単に「転換」とも呼ばれ、既契約の転換価格(解約返戻金や積立配当金など)を、新たに加入する保険の保険料の一部に充当し、既契約から新規契約に乗り換えるものです。つまり、生命保険の下取りです。また、同時に元の契約(旧契約)は消滅することになります。
具体的には、この制度を利用すると、主契約と特約の組み合わせや各々の保障額、保険料の金額や払込方法、保険期間、保険料払込期間、配当方法などを総合的に見直すことができます。(元の契約の「特別配当(長期継続した保険を対象とする配当金)」を受け取る権利は引き継がれます)
一般に契約転換制度は、同じ生命保険会社でなければ利用できず、また本制度の利用時の年齢や保険料率により新しい保険の保険料が計算されます。なお、生命保険会社によって取扱基準が異なり、また利用時には告知(または診査)が再度必要となります。
契約転換制度と解約の違い
契約転換制度は、一旦保険を解約することになりますが、普通に解約を行なう場合と比較すると契約転換制度の場合には、
・解約時の解約返戻金よりも転換価格の方が高額になる
・長期間の保険契約時に貰える特別配当の権利を新しい保険に引き継げる
・告知義務違反が判明しても元の保険に契約を戻せる
・新規加入時は、告知義務違反があったら契約解除になる
などのメリットがあります。
定期保険特約付終身保険に転換する場合
契約転換制度でも特に、定期保険特約付終身保険に転換を行なう場合には、
・基本転換
・定特転換
・比例転換
の3つの方法があります。
基本転換は終身保険の部分のみを買い取る方法になります。定特転換は、定期保険特約のみを買い取る方法となります。比例転換は、終身保険と定期保険特約の両方の部分を買い取る方法になります。
このように、定期保険特約付終身保険の場合には、3つの方法を選択する事が出来る生命保険会社があります。ただし、生命保険会社によっては、このように3つの方法はなく、単純に保険料の一部を充当するような形式をとっている場合があります。
トラブル防止策の策定
定期保険特約付終身保険の契約の転換のトラブルを防止するため、2000年5月に金融監督庁(現金融庁)は、保険業法施行規則を改正しました。
生命保険会社が転換制度の利用をすすめる場合、転換以外の方法や転換した場合の新旧契約の内容比較について、書面を用いて説明することが義務付けられています。
その書面を受領した旨の確認(確認印など)を求められますので内容を十分理解し、納得したうえで受領し、確認印を押印する必要があります。
転換制度を勧める場合の説明義務の内容は以下の通りです。
○転換前と転換後の保険契約に関し、次の重要事項について対比したもの
・基本となる保険金の名称と金額
・個別の特約名と特約保険金額
・保険期間および保険料払込期間
・保険料(主契約・特約)およびその払込方法
・配当方式
○転換時の予定利率が元の契約の予定利率よりも下がる場合は、保険料が引き上げとなる場合もあることの説明
○転換制度以外に、現在の契約を継続したまま保障の内容を見直す方法がある事実およびその方法(追加契約、特約の中途付加など)