死亡保険金にかかる税金
生命保険に加入する目的や契約のしかたによって、死亡保険金にかかる税金が変わります。このことを知っておかないと、支払う必要のない高額な税金を支払うことになってしまい、死亡時に必要なお金を考えて保険に入っても、必要保障額に満たない可能性もあります。
このようなことにならないように、どのくらい税金が発生するのか把握して加入する必要があります。
さまざまな場合の死亡保険金にかかる税金
契約者(保険料支払者)、被保険者(誰が亡くなったら支払われるか))、受取人の3名をどのように設定されていたかによって、死亡保険金にかかる税金の種類が異なります。
死亡保険金を受け取った場合の課税関係
契約内容(カッコ内は例) | 税の種類 | 事例 | ||
契約者 | 被保険者 | 受取人 | ||
夫 | 妻 | 夫 | 一時所得、雑所得(所得税) | ①、② |
夫 | 夫 | 妻 | 相続税 | ③ |
夫 | 妻 | 子ども | 贈与税 | ④ |
①夫が妻にかけ、夫が一時金として受け取る場合
一時所得として所得税、住民税がかかります。
②夫が妻にかけ、夫が年金を受け取る場合
雑所得として所得税、住民税がかかります。
③夫が自分にかけ、妻が受け取る場合
税務上、相続財産に含まれます。生命保険金は、法定相続人1人当たり500万円まで非課税です。さらに、基礎控除が5,000万円+法定相続人1人当たり1,000万円あり、相続財産から債務、葬儀費用、基礎控除を引いてゼロまたはマイナスの場合は相続税を納める必要はありません。
超えた部分に対して、財産の金額や法定相続人の数に応じて相続税がかかります。
(注)平成25年度の税制改正により、相続税の基礎控除が縮小されることになりました。平成27年1月1日以後に生じた相続では、基礎控除は3,000万円+法定相続人1人当たり600万円となります。
④夫が妻にかけ、子どもが受け取る場合
保険金を受け取った子どもには贈与税がかかります。
1.契約者と死亡保険金受取人が同一の場合(一時所得)
契約者と死亡保険金の受取人が同一の場合は、死亡保険金は一時所得となり、所得税の課税対象となります。
所得税の課税対象となる金額 =( 死亡保険金 + 配当金 - 払い込み保険料 - 特別控除50万円 )×1/2
2.契約者と被保険者が同一の場合(相続税)
契約者と被保険者が同一の場合は、死亡保険金は相続税の課税対象となります。ただし、保険金受取人が配偶者などの相続人の場合は、「500万円×法定相続人の数」までの金額が非課税となります。
3.契約者、被保険者、死亡保険金の受取人がそれぞれ異なる場合(贈与税)
契約者、被保険者、死亡保険金の受取人がそれぞれ異なる場合は、贈与税の課税対象となります。
贈与税の課税対象となる金額 = 死亡保険金 - 基礎控除110万円
死亡保険金にかかる税金の注意点
相続税は死亡した翌日から10か月以内に税務署に申告、納税します。所得税と贈与税は保険金を受け取った翌年の3月15日までに確定申告と納税が必要となります。なお、所得税がかかる場合は給与など他の所得と合算して課税されます。
税務署への申告が必要な場合、怠ると延滞税や重加算税が課されることもあるので注意が必要です。一般的に同じ額の死亡保険金であっても税金の額は、「 相続税 < 所得税 < 贈与税 」となることが多いので、このことも念頭に置いて保険契約を考えましょう。