お宝保険は解約せずに持ち続けるべきか?|高予定利率の保険の扱い方
この記事では高予定利率の保険の取り扱い方法を紹介します。
保険は素人では分かりにくい部分が多く、保険加入後、そのままにしている人が多いのではないでしょうか。
見直しをしようとしても、そのタイミングや考え方など、何から手を付ければよいか悩んでいる人が多いかと思います。
納得できる保険の見直しは、やはり専門家に相談するのが一番良い方法ですが、都合の良いものだけを勧めてくるのではないかという不安があります。
特に下調べもせずに相談に行くと売りたい商品を勧められるだけに終始して、不満だけが残る結果になりがちです。
自分が納得できる結果を得るには下調べが必要で、そのポイントを知り、専門家に相談することで良い結果を得ることができます。
利率の高いお宝保険は手放さない
定年になって保険の問題を意識するとすれば、そのほとんどが「見直し」を考える時でしょう。
しかし、中には保険を見直したり、解約してしまったりしたことで大きく損をしてしまう場合もあります。
それほど可能性は高くありませんが、たとえば1990年代前半、まだ好景気だったころに終身保険や養老保険、個人年金保険など、貯蓄性の高い保険に加入していた人は、その転換や解約を考えるのは少し待った方が良いでしょう。
この時期の保険は、いまと社会情勢が大きく違っていたこともあり、基本的に予定利率がとても高く設定されています。
利率とは、保険会社に払った保険料と、それを保険会社が運用したことで得られる保険金の利益の割合で、予定利率は、契約時点で約束されたその割合のことです。
つまり、予定利率が高い保険に加入していれば、それだけ支払う保険料に対して、高額の保険料が返ってくることになります。
1990年代前半当時の予定利率は5~6%ほどで、今の保険が1%前後なので、保険金で得られる利益は、現在の実に5倍にもなるのです。
近年は世界的にも低金利が続いており、これから当時のような高利率の保険がでてくることはほとんど考えられません。
そのため、このような高利率の保険を「お宝保険」と呼ばれているのです。
とても貯蓄性が高く、維持し続けていれば、それだけで一財産になってくれます。
保険会社によっては、お宝保険であっても、ほかの保険と同じように転換することをすすめてくる場合があります。
心当たりがある人は、解約してしまわないように充分に注意してください。
高利率のお宝だからこそ無駄なく受け取る方法を
利率がとても高く、高い資産価値を持つお宝保険ですが、実はこれにも落とし穴があります。
それが税金です。
たとえば高利率の個人年金保険に加入していた場合、保険金として受け取る金額は納めた保険料よりも多くなることが期待できます。
しかし、この差額が大きくなるということは、所得が大きくなるということなので、その分、納めるべき所得税額も大きくなってしまいます。
では、この税額を少しでも抑えるためにはどうすればいいのでしょうか。
そこで考えなければいけないのが、保険金の受け取り方になります。
個人年金保険の保険金は、年金として長期的に払い戻してもらうか、一時金として一括で取得するかを選ぶことができます。
実はその違いによって、所得としての分類が変わり、課税方式も変わるのです。
年金の場合は雑所得、一時金の場合は一時所得という扱いになります。
雑所得の税金は、公的年金とは切り離して計算することになり、その年の総収入金額から、必要経費を差し引いて計算します。
なお、この場合の総収入とは、払い込んだ保険料の合計を払い込み期間の年数で割って算出します。
一方、一時所得の場合は、総収入額からそのための必要経費を差し引くところまでは同じなのですが、さらに特別控除額として、最高50万円の控除があります。
さらに、課税所得に合算される段階で、この金額は2分の1にされるのです。
こういった計算があるため、税額上、一時金として受け取った方がお得に保険金を取得できるのです。
ただし、年金形式での受け取りにもメリットはあって、保険金がすべて払い戻されるまでは、残額を保険会社が運用してくれます。
そのため、保険金の合計額を少しずつですが増やすことができるのです。
しかし、そもそも近年は運用による利率はほとんど期待できず、仮に増えたとしてもやはり税金として納める部分が増えてしまいます。
こういったことを考えると、より有効にお宝保険を活かすなら、一時金で受け取っておいた方が良いといえます。
また、保険金にかかる税金をさらに抑えるなら「所得が少ないタイミングで受け取る」ことが大切です。
所得税は、すべての課税所得の合計に対して課せられますが、累進課税なので、所得が少ないほど税率が抑えられるのです。
そのため、もし現役並みの収入がある段階で一時金として年金を受け取った場合、課せられる税率は高くなります。
これを退職後までずらすことができれば、それだけ年金取得時の所得を抑えることができ、税率も軽減されます。
このように年金に係る税金を抑えることができます。
利率が高いお宝保険だからこそ、それを最大限に受け取れるように工夫を行いましょう。
まとめ
1.お宝保険の判断の目安
予定利率はバブル期は6%台で平成初期でも5.5%ほどと現在の予定利率と比較して、夢のような高水準でした。
お宝保険の目安は平成11年3月以前に契約した保険といえます。
契約年月 | 予定利率(%) | |
契約期間10年超え20年以下の場合 | 契約期間20年超えの場合 | |
~昭和51年3月1日 | 4.0 | 4.0 |
昭和51年3月2日~ 昭和56年4月1日 |
5.0 | 5.0 |
昭和56年4月2日~ 昭和60年4月1日 |
5.5 | 5.0 |
昭和60年4月2日~ 平成2年4月1日 |
6.0 | 5.5 |
平成2年4月2日~ 平成5年4月1日 |
5.5 | 5.5 |
平成5年4月2日~ 平成6年4月1日 |
4.75 | 4.75 |
平成6年4月2日~ 平成8年4月1日 |
3.75 | 3.75 |
平成8年4月2日~ 平成11年4月1日 |
2.75 | 2.75 |
平成11年4月2日~ 平成13年4月1日 |
- | 2.0 |
平成13年4月2日~ 平成25年4月1日 |
- | 1.5 |
平成25年4月2日~ | - | 1.0 |
2.保険金を一時金で受け取った場合の計算式
一時所得 = {(受け取った一時金の額-支払った保険料)-特別控除の50万円}×1/2
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今までの保険に加入する方法は生保レディなどの保険会社の販売員から直接セールスを受けて加入したり、ネットで自分で調べて加入するという方法が主流でした。
しかし、現在は保険のプロによるコンサル型の保険サービスが広まっており、家庭環境や収入、現在の保険の支払い状況などをチェックしたうえで、商品を選んで提案してくれるので、メリットが多い保険の買い方として注目されています。
保険について悩んでいる方は、一度保険のプロに相談してみることをオススメします。
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この記事はエーエフコースの記事より転載しています。