共済
2019/11/10
共済とは、「互いに助け合う」、「お互いにお金を出し合って何かをする」といった幅広い意味があります。共済の世界では、「JA共済」「県民共済(都道府県民共済)」「全労済」「CO・OP共済」の規模が大きいです。
各共済の事業において、生活を脅かす様々な危険(死亡、入院、火災、自然災害、交通事故など)に対して、組合員があらかじめ一定の共済掛金を拠出して協同の財産を準備します。
不測の事故が生じた場合に共済金を支払うことによって、組合員やその家族に生じる経済的な損失を補い、生活の安定をはかります。
生命保険との違い
保障の機能は共済も生命保険もどちらも変わりません。相互扶助のしくみは同じですが、いくつか異なる点があります。
1.営利を目的としない
共済事業は、営利目的をせず、組合員が自ら運営することを通じて、組合員に最大の奉仕をすることを目的として事業を行っています。生命保険会社の行う事業は、株主や社員への配当を目的とする営利事業ですから、この点が最も大きく異なっています。
2.加入対象者
共済は原則として組合員やその家族が加入することができるのに対し、保険は不特定多数の者を対象に営業することができます。
3.根拠法
JA共済は「農業協同組合法」、県民共済(都道府県民共済)、全労済、CO・OP共済は「消費生活協同組合法」の法令に基づいて実施されているのに対し、保険は「保険業法」に基づいて実施されています。
なお、加入者の権利義務などの基本的なルールについては、共済・保険に共通して適用される「保険法」に基づいています。
共済のメリット・デメリット
1.共済のメリット
共済のメリットは相互扶助の精神に則った組合員の助け合いで成り立つ非営利事業なので掛金の安いです。また、決済内容に応じて割戻金があることです。特になにかと物入りな中高年世代の医療費のカバーにおいて、非常に魅力的といえます。
そもそも健康保険や国民健康保険では、医療費が高くついた場合に自己負担額を超えた金額を保険から払い戻してくれる「高額療養費制度」が用意されています。
病気やケガの治療で入院・通院したときは、健康保険で賄えない分がカバーできればよいと考えれば、通院で一日1,000~3,000円、入院で一日3,000~10,000円程度がカバーできる共済は、利用するメリットが大きいといえます。
2.共済のデメリット
共済は死亡保障や医療保障の金額が固定されており、しかも保障額は最低限のニーズこそ満たしているものの、高額の保障を提供するものではありません。また、60歳を過ぎたときの保障が一般の生命保険に比べて弱い点が挙げられます。
共済の各商品は、保障期間が60~65歳どまりか、あるいは保障内容がぐっと下がって継続されるのが一般的です。平均寿命が80歳を超え、医療費支出が高額化する60歳代後半からの保障をどのようにカバーしていくかという問題があります。
共済と生命保険による保障設計
共済は商品設計上、年齢に関係なく、掛金は一律・保障も一律であり、加入者が中高年層である場合は、支払負担感が少なくなるメリットがあります。
一方、生命保険の場合、年齢や職業に応じたリスク設定を行って、商品に反映させざるを得ないため、加入時の年齢が若ければ若いほど、保障内容に対する支払保険料が安くすむしくみになっています。
このため20代での生命保険の保険料と共済の掛金を比較すると、それほど差がないことが多いです。一般的に一生涯保険加入を続けるつもりならば、保障内容が大型で加入時の保険料が安く固定される生命保険に軍配があがるケースが多いです。
これは若い時の共済加入は保険より相対的に割高になるということでもあります。
家族構成や収入状況は年月が経つにつれて必ず変化するため、トータルの保障設計ではあくまでも保険商品を主軸に据え、共済はそれを補強するかたちで必要に応じて組み入れていくのがよいのではないかと考えられます。