5年ごと利差配当付保険
2017/02/22
生命保険は、従来は有配当保険と無配当保険でしたが、両者の中間タイプの準有配当保険が登場しました。5年ごとに配当する「5年ごと利差配当」が主流で、「3年ごと利差配当」「毎年利差配当」もあります。
利差配当付保険(りさはいとうつきほけん)とは、予定利率と実際の運用成果との差によって生じる毎年の損益を一定年数ごとに通算して剰余金が生じた場合、配当金として分配する仕組みの保険です。
「5年ごと利差配当型」とは5年ごとに通算して剰余金が生じた場合、配当金として5年ごとに分配する仕組みのことをいいます。
配当の原資
準有配当保険は、予定利率のみに基づき配当が行われ、他の予定死亡率、予定事業費率は無配当を前提とした低めの水準とし、死差益と費差益は剰余が生じても配当しないため、有配当保険に比べて保険料は格安です。
「将来の配当より現在の保険料の安さ」の選択肢として、無配当保険の他に考えられます。
無配当保険 | 準有配当保険 | 有配当保険 | ||
配当 | 利差配当 | 無配当 | 5年ごと配当 | 毎年配当 |
予定利率 | 3.10% | 2.90% | 2.75% | |
死差配当 | 無配当 | 無配当 | 毎年配当 | |
予定死亡率 | 低い | 低い | 標準死亡率 | |
費差配当 | 無配当 | 無配当 | 毎年配当 | |
予定事業費率 | 低い | 低い | 高い | |
保険料 | 低 | 中 | 高 |
保険の配当は保険料の払い戻しに過ぎない
有配当保険では、通常であれば剰余金が発生するように保険料を設定した後に剰余金を保険料の精算として配当を支払います。しかし厳しい経済環境で各社の資産運用も苦しく、この数年、配当ゼロの商品も珍しくありません。
剰余金の発生の仕組みと三利源(死差益、利差益、費差益)を見てくるとわかりますが、保険契約者に支払われる配当は、当初の保険料が高すぎた分を契約者に払い戻したものにすぎません。生命保険会社から配当金が支払われても、得をしたというのとは異なります。
株式の配当のように、事業によって生み出された利益の分配という側面はありませんので保険の配当には所得税がかかりません。
保険の配当があった場合、その年に支払った保険料が減少したものとして処理されるので、生命保険料控除が減って結果的に所得税が少し高くなりますが、配当に税金が課されるわけではありません。株式の配当とはこの点が大きく異なります。
有配当と無配当のどちらの生命保険を選ぶか
有配当保険の配当は保険料の事後精算によって生じますが、必ずしも確定してもらえるものではありません。実際の運用収益が想定収益よりも下回った場合など剰余金が発生しない場合には、配当が支給されない場合もあります。
つまり、経済情勢によって変わりますので、一般的には「好景気でインフレ傾向にある場合には有配当の生命保険がトク」、「景気が低迷しデフレ傾向にある時期には無配当の生命保険がトク」といえます。配当があるからということで必ずしも得する保険とはいうことができません。
また、配当がないからということで損であるともいえません。配当があるために有配当保険は保険料が高く設定されていると考えるならば、保障重視の無配当保険で保険料を安くしたほうがよいでしょう。