料率改定による保険料への影響
2017/03/31
予定利率と保険料の関係
保険料は将来の死亡率を見積り(予定死亡率といいます)を基に将来の保険金の支払額を見積もって、この金額を支払うために必要なものとして保険料を設定します。
しかし、保険期間が長期の生命保険では、高齢になるほど死亡率が高くなることから、保険金の支払いは保険期間の後半に発生しやすくなります。
これに対して、保険料の払い込みは、一時払いの場合は契約締結時に、全期払いの場合は保険期間を通じて行われるので、生命保険会社は払い込まれた保険料を貯めておき、将来の保険金の支払いに備えることになります。これが責任準備金です。
ところで生命保険会社は、責任準備金を有価証券投資や貸付などの資産運用に充て収益を得ることができるので、資産運用見込額をあらかじめ保険料から割り引きます。この割引率を予定利率といいます。予定利率は保険契約締結時に決定され、通常、保険期間中は変更されません。
市場金利はそのときどきの経済状況により変動するので、予定利率は長期にわたる保険期間中に起こりうる低金利状況にも耐えられるような水準で決めることとされています。
予定利率は契約者に約束する運用利回りですので、この予定利率が高いと保険料は安くなり、予定利率が低いと保険料は高くなる関係にあります。
低金利の影響
2016年2月16日に導入されたマイナス金利の影響で、生命保険会社が保険料を主に運用している10年国債の利回りがマイナスになっています。生命保険会社は長期的な運用益が減少し、既に高い利率で契約している保険金を支払うことで、損失が生じることになります。
特に保険料の全額を契約時に支払う一時払い保険は、死亡保障機能に加えて、預けたお金を蓄え増やすことを目的とした資産運用商品の側面を持ちます。しかし、金利が下がり続けると資産運用商品としての競争力が低下するだけでなく、逆ザヤに陥る懸念も出てきます。
このため2016年3月以降、貯蓄性が高い一時払い養老保険、一時払い終身保険、一時払い個人年金の販売停止や、保険料の値上げを行う生命保険会社が相次いでいます。とはいえ、保険以外にも金融商品の金利も軒並み下がっているので、自分のニーズをしっかり把握して、それにあった商品を選ぶことが大切です。
2017年予定の「標準利率」低下によって、生命保険会社は資産運用について収入が減る前提で商品設計することになるので、契約者が払う保険料は値上げ傾向が強く出ます。特にそれが顕著に出るのは、資産運用による貯蓄機能がある商品(終身保険や養老保険、個人年金保険など)であると思います。
また、標準利率の改定頻度も低金利が続く中、一時払いでそれまで年1回だった標準利率見直しを、年4回に変更(3カ月ごと)に増えていますので、運用環境の変化に応じた改定が今後もなされることが予想されます。
貯蓄型の保険は、低金利の影響で保険料が上がる傾向にありますが、価格だけに目を奪われてはいけません。配当も含めたトータルの視点で選んだほうが満足度・納得感が高くなるといえます。