保険の基礎知識

交通事故における損害賠償請求権と保険金請求権

被保険者が交通事故でケガや死亡した場合、保険金が支払われますが、保険金を受け取ると、加害者に対する損害賠償請求をするときの賠償金に影響があるのか心配になります。交通事故に起因して被害者が何らかの利益を得た場合に、その部分を損害賠償額から控除することを損益相殺といいます。

交通事故で死亡した場合、保険金は請求できるか

夫が交通事故で死亡してしまいました。妻を保険金受取人としていた生命保険に加入していましたので、妻は5,000万円の保険金を受け取りました。一方で交通事故の加害者に対して5,000万円の損害賠償請求もしていますが、保険金がもらえたのだから、損害はないので支払わないということにはならないのでしょうか。

上記ケースの場合、損害賠償金と保険金が相殺されるはありませんので、5,000万円の損害賠償を請求することは可能です。(損益相殺されない例)

生命保険金は保険契約によって、それまでに支払われた保険料の対価として支払われるものです。また、損害賠償金は交通事故により被った損害を回復するために、加害者に請求するものです。この両者はまったく別の原因に基づくものですので、両者ともに請求できると考えるのが妥当です。

損益相殺について

加害者と被害者の公平の観点から認められているのが損益相殺です。債務不履行や不法行為によって損害を受けた被害者やその相続人が、損害と同時に利益を得た時、その利益分を損害から控除して損害賠償額を決めることを損益相殺といいます。

つまり、不法行為などによって損害を受けた被害者の保障が過剰になることを防ぐために認められているのです。

<損益相殺の対象となる例>

・自賠責保険金や政府保障事業による填補金

・労災保険法に基づく給付金(療養補償給付金・障害補償年金・休業補償給付金など)

・厚生年金保険法に基づく給付金(遺族厚生年金・障害厚生年金など)

・国民年金法に基づく給付金(遺族基礎年金・障害基礎年金など)

・健康保険法に基づく給付金(傷病手当金など)

・地方公務員等共済組合法に基づく給付金(遺族共済年金など)

<損益相殺の対象とならない例>

・自損事故保険金

・搭乗者傷病保険金

・生命保険金

・傷害保険金

・労災保険上の特別支給金(休業特別支給金、障害特別支給金、障害特別年金、遺族特別年金など)

・生活保護法に基づく扶助費

・特別児童福祉扶養手当

・介護費用の公的扶助

・社会儀礼上相当額の香典・見舞金

生命保険と損益相殺の関係

生命保険契約の被保険者が交通事故などの不法行為によって死亡した場合、被保険者の相続人が加害者に対する損害賠償請求権を取得します。

しかし、当該相続人が生命保険契約上、保険金受取人とされていたときは、当該相続人は被相続人の死亡によって保険金を受領し、利益を受けることになりますので、不法行為による損害と保険金との損益相殺をすべきか問題となります。

この点について、最高裁昭和39 年9月25日判決は、「保険契約に基づいて給付される保険金は、既に払い込んだ保険料の対価たる性質を有し、もともと不法行為の原因と関係なく支払われるべきものであるから、たまたま本件事故のように不法行為により被保険者が死亡したためにその相続人たる被上告人両名に保険金の給付がされたとしても、これを不法行為による損害賠償額から控除すべきいわれはない」と判示し、 損益相殺により損害賠償額から受領した保険金額を控除することを否定しました。

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